2023年1月29日日曜日

赤いフロックコート

モーツァルト26歳の頃

仕事もプライベートも上手くいっている時

どこかの店先か仕立屋で赤い上着(フロックコート)を目にします。

衣裳にお金をかけるのは

単にお洒落と言うわけでは無く、

自分を奮い立たせるための勝負服だと

考えていたらしいです。赤い上着は

当時、楽長級が着るものなので、

彼がどれほど上昇志向であったのも伺い知れますね。

そこで、パトロンであるヴァルトシュテッテン男爵夫人に

あてて「おねだり」の手紙を書いています。

 手紙の内容は、赤いフロックコートの

美しさに見とれて、値段は分からないが、

どうしても欲しく、またボタンは

真珠貝に美しい黄色い石がはめてあるものが

欲しいと。。。そして最後に 

「私は本物の美しい良いものが

何でも欲しいのです!(1782年9月28日 ウイーン 

 ヴァルトシュテッテン男爵夫人へ)」

と綴っています。

あの肖像画の赤い上着は、

ヴァルトシュテッテン男爵夫人に用立ててもらった

念願のフロックコートだったのかもしれません。