モーツァルト26歳の頃
仕事もプライベートも上手くいっている時
どこかの店先か仕立屋で赤い上着(フロックコート)を目にします。
衣裳にお金をかけるのは
単にお洒落と言うわけでは無く、
自分を奮い立たせるための勝負服だと
考えていたらしいです。赤い上着は
当時、楽長級が着るものなので、
彼がどれほど上昇志向であったのも伺い知れますね。
そこで、パトロンであるヴァルトシュテッテン男爵夫人に
あてて「おねだり」の手紙を書いています。
手紙の内容は、赤いフロックコートの
美しさに見とれて、値段は分からないが、
どうしても欲しく、またボタンは
真珠貝に美しい黄色い石がはめてあるものが
欲しいと。。。そして最後に
「私は本物の美しい良いものが
何でも欲しいのです!(1782年9月28日 ウイーン
ヴァルトシュテッテン男爵夫人へ)」
と綴っています。
あの肖像画の赤い上着は、
ヴァルトシュテッテン男爵夫人に用立ててもらった
念願のフロックコートだったのかもしれません。