2020年11月4日水曜日

影を背負った作曲家ジェズアルド

ジェズアルドは類い稀なる美しさをもった

ペスカラ侯の娘マリア・ダヴァロスと結婚。

しかし、妻がアンドリア公ファブリツィオ・カラーファと

ひそかに逢瀬を重ねているのを知ったジェズアルドは、

逢瀬の現場に従者とともに乗り込み、二人を殺害してしまう。

ジェズアルド一族の地位は高く、スキャンダルとなったものの

罪が裁かれることはなかった。

運命の悪戯か、この事件がきっかけで、それまでなかば秘密のうちに

専念していた作曲活動が公に知られ、彼の才能が認められる事となる。

ジェズアルドの宗教マドリガルの一節に

「主よ、どうか慈悲を

 わたしは罪深い者である

 わたしの喜びにわたしは苦しむ……。」

生後間も無い子供までも、不貞の子ではないかと

疑い殺害してしまったジェズアルド。

彼の心の中には解決を求めて彷徨う

半音階と不協和音が響き渡っていたのだろうか。

後年、鬱病に苦しんだという。