ジェズアルドは類い稀なる美しさをもった
ペスカラ侯の娘マリア・ダヴァロスと結婚。
しかし、妻がアンドリア公ファブリツィオ・カラーファと
ひそかに逢瀬を重ねているのを知ったジェズアルドは、
逢瀬の現場に従者とともに乗り込み、二人を殺害してしまう。
ジェズアルド一族の地位は高く、スキャンダルとなったものの
罪が裁かれることはなかった。
運命の悪戯か、この事件がきっかけで、それまでなかば秘密のうちに
専念していた作曲活動が公に知られ、彼の才能が認められる事となる。
ジェズアルドの宗教マドリガルの一節に
「主よ、どうか慈悲を
わたしは罪深い者である
わたしの喜びにわたしは苦しむ……。」
生後間も無い子供までも、不貞の子ではないかと
疑い殺害してしまったジェズアルド。
彼の心の中には解決を求めて彷徨う
半音階と不協和音が響き渡っていたのだろうか。
後年、鬱病に苦しんだという。